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オタク徒然

たぶん忘れてたのは 思い出じゃなくて 鍵の在り処だった

3月分の読書

感想を書き留めてたノートを無くしたのでインターネットの海に放出。

作家名は敬称略、ネタバレ大アリ。

 

『夜の公園』

著/川上弘美

関係だけなぞれば不倫・浮気のオンパレードで節操ない内容なんだけど、登場人物たちが淡々としてるから修羅場になることもなくどこか静かな本だった。

リリも幸夫も暁や春名との関係は一時の迷いで済ませれば今後の人生平穏で無難に進むのに、リリはシングルマザーになるし、幸夫は春名に求婚しようとするし、悟は突然春名を殺そうとするし、春名は誰だかわからない人と結婚するし、なんかもうよくわかんなかった。みんななに考えて生きてんの? 江國香織を読み終わった後もいつもこんな気持ちになるしたぶん不倫小説向いてないわ。

リリはなんかゆるふわしてて苦手なタイプの女だった。春名の方が好き。

斎藤先生と春名のやりとりを永遠に見てたい…って思ったけど、この二人のやり取り、まんま『センセイの鞄』の空気だったんだよね。川上弘美の本はいくつか読んだけれど『センセイの鞄』がずば抜けて大好きだし、ツキコさんとセンセイがいちばん好きだ。

夜の公園 (中公文庫)

夜の公園 (中公文庫)

 

 ↑なんとなく選んだ本だったけど結構ブログに書いてる人がいてびっくりした。

 

 

『ヒア・カムズ・ザ・サン

著/有川浩

端的に言ってつまらなかった。カオルと父親の関係に無駄に主人公がしゃしゃってムカついた。一章も二章も。それに正直カオルと父親の話なんかどうでもいいわい。(物語の登場人物なんて基本自分とは無関係の存在で、そこにどう感情移入させるかが勝負なのに「どうでもいいわい」って感想が出ちゃうの不味いでしょ)

ていうか主人公の特殊能力いる? 無駄に特殊能力を巡った過去の自己陶酔話みたいなの挟む割には、結局たいして話の本筋には絡まないじゃん。

なんだったんだこの本。

有川浩の著作はほとんど読んでて全部無難に面白い印象だったから、これもそこそこのクオリティが保障されてると思ったけどこんな出来だとは。がっかりだ。

ヒア・カムズ・ザ・サン (講談社文庫)

ヒア・カムズ・ザ・サン (講談社文庫)

 

 

 

 

インフェルノ』上下

著/ダン・ブラウン 訳/越前敏弥 

11月頃に映画を見ていたが、今更原作の方を読んだ。

貸してくれた人から「原作のエンドの方が良い」と聞いていたが確かにその通り。映画は「細菌確保成功!」で終わったが、原作は細菌は実はもう世界中に蔓延していて世界はこれからどう向き合っていくのか?という問いかけを残した。原作の方が人口過剰、疫病といったテーマに正面から向き合った印象。映画は短い時間にエンターテインメントとして昇華した感じ。ていうか映画のコピーの「人類は滅びる 全てはお前次第だ」ってラングドンひとりに責任押し付け過ぎて笑う。映画ラングドン、お疲れさま。

意外だったのが原作ではシエナとラングドンにフラグが立ったこと。映画ではゾブリストに最後まで心酔していたシエナだが、原作ではラングドンを信じ心を開き最後にはちゅーまでしてた。びっくり。

シエナとシンスキーの百合が◎。ああいう考え方とか年齢とか立場とか何もかも違う女性2人が歩み寄る関係性に弱い。

インフェルノ(上) (角川文庫)

インフェルノ(上) (角川文庫)

 

 

 

 

ただ、それだけでよかったんです

著/松村涼哉 

久々のラノベ。文章がありえん下手で正直読み進めることに苦痛すら感じたし設定ちょっと杜撰な気もした。けど、話自体は嫌いじゃなかった。なんというか嫌いになれなかった。

少女漫画とかに多いいじめコンテンツっていじめの内容が大胆だし最後は笑顔で仲直り☆か勧善懲悪みたいなのが多くてどうもフィクション感が拭えなくて好きじゃないんだけど、この本のいじめ、というか菅原拓の心情はなんか生々しくて良いなあって思った。

この本の推薦文にちらっと眼を通したら「仕掛けが~」とか「謎が~」って言われてたけどこれは仕掛けや推理、謎解きの綿密さよりも、粗削りな尖った感性を評価するべき作品じゃないのかな。伏線もクソもないでしょ。不器用だけど必死にもがく菅原拓は悪くなかったよ。

 

 

 

『校閲ガール』

著/宮木あや子

今更ながら読了。完全に時代に乗り遅れ。ドラマは未視聴。

うーん、読みやすい。文章がするする頭に入ってくる。直前までただそれだけで~を読んでた分、なおさら読みやすさに感動。好きだ。

自分に利のある時は媚び、利の無い時はまったく媚びない主人公の一貫したスタンスがとても気持ち良い。仕事は大変だし失敗もするけどそのなかで楽しみとやりがいを見つけ、時には友情をはぐくみ、恋もし……と盛りだくさんで充実した生活を送っててイイネ! 藤岩さんとの友情がたまらん。イエス百合!

宮木あや子は切ない官能小説とウルトラハッピー小説とでだいぶ作風が異なるけど、それでも根底にはこう、ガッツがある。彼女の生み出す女たちは、強い。『校閲ガール』や『憧憬☆カトマンズ』は言わずもがな、『花宵道中』や『白蝶花』とかにも登場人物の根底にはガッツがあった。みんな特別強いわけではなくてほんとうは脆いけれど、精いっぱい踏ん張っていて生きていて、その姿勢はすごくすごく、強いのだ。私も宮木あや子の小説に出てくるような女になりたい。強くなりたい。

あと有森樹李(柚木麻子の『私にふさわしいホテル』の主人公のペンネーム)やガイジン力士と結婚してサイパンに行った子(著者の『憧憬☆カトマンズ』のリカちゃん)が登場してニマニマした。ていうか有森樹李なんて別の著者の本じゃん。ほんと宮木あや子と柚木麻子仲良いな。

校閲ガール (角川文庫)

校閲ガール (角川文庫)

 

 

こんなもんかな。

4月も時間を見つけて読書に励みたい。以上。