AYA UCHIDAが始まった日【内田彩楽曲考察②】
*はじめに*
本日2017年11月12日は内田彩さんの1stアルバム『アップルミント』の発売から3周年、つまりアーティスト・AYA UCHIDAが始動して3周年というおめでたい日です!おめでと~~!!
という訳で考察記事の第2弾です。前回の記事(↓)から半年以上経ってしまいましたが、
幕張でモチベを得て第2弾を書き上げることができたので、せっかくだから11月12日に公開することにしました。
前回は「只野菜摘先生の書く詞は“悪い時を否定せず、受け入れて自分の一部として生きていこう”という一貫したメッセージがある」といったお話をしました。
そして、悪い時を肯定する姿勢は只野菜摘先生の作詞された曲に限ったことでありません。なので今回は只野菜摘先生以外の方が作詞された内田さんの楽曲にも悪い時を肯定するメッセージのある楽曲が多いこと、そして内田彩さん自身がそのメッセージを体現していることを楽曲を通してお話してていきたいと思います。
♡絶望アンバランス
作詞・作曲・編曲:hisakuni
hisakuni大先生によるこのヤベぇロックを1曲目に持ってきたのは意外かもしれませんが、ちゃんと訳があります。
恋愛って甘い魔法のようだけど、ちょっとバランスが崩れたら、地に落ちるというか。アンバランスなもので紙一重なんだなって。
と内田さんが言ってるように、恋愛の良い部分と悪い部分が表裏一体であることを描いた絶望アンバランス。
輝くたびに影ばかり際立って 悲しみが増す
(1番、ラストサビ)
離れるほど 近づいてく
(2番Aメロ)
脅迫のような希望育てて
(2番Aメロ)
といった矛盾をはらんだ歌詞が多いのが特徴なのですが、内田さんはこの曲をただの恋愛においてのみの楽曲だとは捉えていません。
光の裏には絶望があるという内容を表現していて、それは恋愛についてだけではなく、ふだん誰もが生きているなかで感じるようなことが描かれているので、等身大の気持ちがすごく入りますね。
そう、絶望アンバランスは恋愛のみを描いたのではなく、「ふだん誰もが生きているなかで誰もが感じるようなこと」の曲だと応用し、そして「光の裏には絶望がある」とおっしゃっています。ここからプラスとマイナスは表裏一体である、という彼女の考え方がわかります。
あれ…この裏表とか表裏一体とかいう表現…どこかで聞いたことが……?
♡Merry Go
作詞:坂井竜二 作曲:柴田尚 編曲:佐藤清善
裏表といえばこれでしょ、Merry Go。オタクの間でMerry Goの表記をカラフル(点滅リスペクト)にするのが流行ってるみたいだからやってみました。
さて、Merry Goの歌詞はわかりやすくプラスとマイナスは表裏一体であることを述べています。
ちょっと見にくいのですが、全体的なスタンス/プラスなこと/マイナスなことで歌詞を色分けしてみました。
何だって裏表だね 裏だって 表なら
表だってさ 裏なんです!
(1番Bメロ)
幸せの反対も 回せば幸せに姿を変える
悲しみの背中には 喜びの翼が生えてるの
(1番サビ)
プラスとマイナスは表裏一体だから、今はダメでも絶対良いことあるよ大丈夫!と落ち込んでいるときに優しく慰めてくれる1曲ですね。幕張で穴に落ちで靴を壊した内田さんのことも慰めていました。
ほかにもMerry Goには優しいメッセージがいっぱいあって、例えばこの部分
悲劇なら喜劇とカフェオレ
混ぜて 混ぜて混ぜて
残さずに飲み干しちゃいなよ
(1番Aメロ)
のマイナスの感情を「飲み干す」っていう消化の仕方とか最高ですよね。否定するでも、忘れるでもなく、甘い気持ちといっしょに飲み干して自分の一部にしちゃう。なんてかわいくて素敵な発想。この歌詞には受験生だった頃に何度も救われました。
こんな優しい歌詞を書ける坂井竜二さんが…坂井竜二さんが……
♡スニーカーフューチャーガール
作詞:坂井竜二 作曲:石谷桂亮 編曲:佐藤清善
坂井竜二さんが好き……。ということで次に取り扱うのは、内田さんが
「とりあえずスニーカーを履いて飛び越えていっちゃおう、というお気軽さが好きです」
(声優グランプリ2015年9月号「うっちーの『Blooming!』全曲紹介」)
「スニーカーはいて一歩一歩前に歩いて行こう、みたいな曲」
(2015.06.18 「内田彩のもっとお水ください! #15」)
と紹介していたスニーカーフューチャーガールです。
これもマイナスなことを肯定する曲ですよね。それも明るく元気に。
せっかく同じ坂井竜二さん作詞の楽曲なので、Merry Goで用いた全体/プラス/マイナスの色分けを用いて歌詞を見てみましょう。
楽しいだけじゃ そっけないし
辛いだけじゃ つまらないよね
毎日をスリリングに 彩るんだ
(1番サビ)
嬉しいだけじゃ 味気ないし
悲しいだけじゃ 満たされないね
感情には スパイスが必要だ
(2番サビ)
サビ、好きだなあ。一番では楽しい/辛い、二番では嬉しい/悲しいの対比があります。で、辛い、悲しいといった気持ちも人生には必要だと説いてる。
人生、できることなら楽しくて嬉しい思いしかしたくないんですけど、まあそういう訳にもいかないじゃん。で、辛い時・悲しい時にこうやってその時のマイナスの感情を肯定されるとすっごい救われますよね。
さりげなく「彩る」と彩が入ってるのも良い。こういうのが後々のSG, SHに繋がるのでしょうか。
劣等感とか 頑張る理由だね
たった一歩に アクセクするくらいが すばらしい!
(2番Bメロ)
この「劣等感とか 頑張る理由だね」ってのが~も~ほんとに好きで!私は人と自分を比較して落ち込みやすいので、この歌詞にはよく助けられました。「なんで私はこんなにダメなんだろう…」って劣等感に苛まれて辛い時に「劣等感とか、頑張る理由だね!」なんて言われちゃったら、頑張るしかなくなっちゃうもん。劣等感や一歩に苦労することなど普通ならばマイナスに感じる事象を優しく受け入れる優しさと強さが、スニーカーフューチャーガールにはギュッと詰まっています。
落ち込みモードのときでも、スニーカーのひもをギュッと結んで鼻歌を歌いながら走り出しちゃう感じのこの曲が大好きです。
♡Say Goodbye, Say Hello
作詞:坂井竜二 作曲・編曲:木之下慶行
Merry Go、スニーカーフューチャーガールと来たら坂井竜二さん作詞の残りの1曲であるSay Goodbye, Say Helloに触れない訳にはいかないよね。
内田彩さんのアーティスト活動が題材になっているこの曲を内田彩さんと重ねてエモくなるやつはもう幕張の記事で概ねやったし、今後も他のオタクがやると思うので今回は“歌詞のみ”でこの曲について考えようと思います。
Merry Go、スニーカーフューチャーガールにあったプラス/マイナスの対比はこの曲でも健在です。
手に入れたもの 失くしたもの
きっと全部がわたしのマテリアル
(1番Aメロ)
もしも未来から不安が消えたなら
そこからは希望さえも消えちゃうでしょ?
(1番Bメロ)
やはり坂井竜二さんはプラスな事象と同じだけマイナスな事象も自分の一部として大切にされているように感じます。また、未来における不安と希望を紙一重のものだと捉えているのも、Merry Goと同じメッセージ性を見出すことができます。
対比以外の部分では、
あんまり地図ばっかり見つめないで
とりあえず選んで間違えてみよう
(2番Aメロ)
もっと賢いやり方もあるのでしょう
この先つまづいたりもするのでしょう
信じてるの それでも
遠回りくらいじゃ夢は逃げない
(2番Bメロ)
の歌詞から間違えること、賢くないやり方、つまづくこと、遠回りなどのマイナスな事象を肯定的に捉えていることが窺えます。これはスニーカーフューチャーガールの「劣等感とか頑張る理由だね」などの部分と共通していると言えます。
そう、Say Goodbye, Say Helloは「内田彩のアーティスト活動を題材とした曲」でありながらも、メッセージ自体は過去の楽曲と変わらないのです。
これってつまり、内田彩さん自身がアーティスト活動を通して楽曲のメッセージを体現しているということが言えるのではないでしょうか。
そんな訳で次に扱う曲が最後の1曲です。内田彩さんのアーティスト活動の3年間を重ねながら、内田さんにとって、そして私たちオタクにとって大切な、そんな1曲のお話をします。
♡アップルミント
Baby, Are you ready to go?
アーティスト・AYA UCHIDA始動の合図でもあるアップルミントでは未来へ出発する内田彩さんの様子が明るくかわいく、そして力強く描かれています。1stアルバム『アップルミント』~1stシングル『SUMILE SMILE』までのAYA UCHIDA第1章を象徴するこの曲は、内田彩さんのアーティスト活動を語る上ではやはり外せません。
ソロデビュー当時は不安をいっぱい抱えながらの出発だった内田彩さん。
――不安もありました?
驚きと不安というか、大丈夫かな?というほうが大きくて、手放しで喜べるような感じでは、正直なかったですね。本当にソロデビューするの?って(笑)。
キャラクターのイメージを壊したくない、声優は裏方の仕事、“内田彩”自身が表に出るのは何か違うのではないか、と不安を感じていたとは今でもよく言っていますね。
かじってみたらほんのり苦いけど
(1番、ラストサビ)
明日のことはなんにもわからない
(1番、ラストサビ)
この部分なんかはそんなデビュー当時の内田彩さんと重ねることができるなあと聴いていて思います。かじってみたら(始めてみたら)ほんのり苦い(正直嫌だった)アーティスト活動。「自分らしい」歌い方がわからず困惑したと言っていました。しかも5月に曲をぶん投げられて6月1日に初披露して……といった過密スケジュール。この頃は1stライブの開催すら決まっていません。ほんと、明日のことはなんにもわからない状態です。
でも、内田彩さんはただ不安だ嫌だって言いながら泣いて立ち止まる女性ではありません。
私も「アップルミント」を歌いながら、「新しい扉って、いろいろ悩んだり、いろんな経験を積まないと開けられないんだなぁ」と感じていました。
内田彩さんは嫌なことからも逃げずに本気で向き合って、結果を残す女性です。
そんなかっこよくて痺れるスタンスは歌詞からも感じ取ることができます。
考えるより感じて動いたの
いつもそうだったよね
(1番Aメロ)
準備できたらどこへでも行けるよ
迷うことなど一つもないよ
好きなところへ向かえばいいんだよ
ドキドキしながらぎゅうっと踏み出した
不安さえも 力にして
(2番サビ)
不安はあるけれども。それでも、未来に向かって力強く踏み出す。そんな内田彩さんの様子と重なります。
そして、本当は嫌だったけれども不安さえも力にして出発したアーティスト・AYA UCHIDAの物語がどうなったか、私たちは知っています。
……活動を重ねていくにつれ、私らしい部分、キャラクターとは違う一面も出したいという気持ちも出てきましたし、皆さんが私の歌を受け止めてくれているとも感じられるようになって。
【インタビュー】内田彩、3rdアルバム発売!「アイスクリームのように色とりどりなアルバムになりました!」 | 超!アニメディア
この仕事(アーティスト業)好きなので……
2017.10.29 内田彩Newアルバム『ICECREAM GIRL』発売記念MUSICイベント in TOWER RECORDS
アップルミントから3年の時を経て、内田彩さんはアーティスト業を好き、楽しい、こういうこともやりたい、続けたい、みんなついてきて……そんなことを言うようになりました。あんなに嫌がっていたソロアーティスト活動を肯定的に捉えられるようになったのです。この様子はまさに、
あの日描いた未来図に
大きなマルを付けられる日が来たんだ
(Cメロ)
この歌詞の通りではないでしょうか。アップルミントを歌い始めた3年前は未来図を描いた「あの日」でしたが、楽しそうにアーティスト活動を続けている今日はもう「大きなマルを付けられる日」だと言えるでしょう。
かじってみたらほんのり苦いソロデビューであったけど、あの時感じた「予感」は本物でした。内田彩さんは努力を重ねることで、ほんとうに自力で扉を開いてみせたのです。
アップルミントは3年前にはここまで考えられて作られた曲ではなかったかもしれません。でも内田彩さんが曲に意味を与え続けた結果、内田彩さんのアーティスト活動の軌跡を象徴する1曲となりました。
3年前の内田彩さんが歌うアップルミントと、今日の内田彩さんが歌うアップルミントでは大きく意味が違います。アップルミントの進化はこれで終わることはなく、これからもずっと成長し意味を変え、私たちを感動させ続けてくれるのでしょう。
また、アップルミントの歌詞のなかで出てくる一人称って
僕らのキセキ 手が届くだろう
(1番Bメロ)
今僕らの明日へ繋がってく
(2番サビ)
曲を通して「僕ら」なんですよね。僕ではなくて、僕ら。しかも僕らの「キセキ」に、僕らの「明日」。僕ら、に含まれるのは誰だろうって考えたら…それは私であって、あなたであって、内田彩さんを好きな人全員、を指していると思います。内田彩さんと私たちの軌跡に、奇跡。そして内田彩さんと私たちの、明日。
内田彩さんはいつも「あなたたちのおかげでここまで来ることができた」と言ってくださいます。武道館でトリに選ばれたwith youでは「コンプリートに足りないのは、あなた」とも言ってくれたし、新木場では「誰か(ファン)の湖にSMILEをうつしてゆけるなら、私がアーティスト活動を続けている意味がある」とも。インタビューの「理想のライブ像は?」という質問に対しては「“みんなで”作るライブ」と答えていました。
つまり、内田彩さんはアーティスト活動の物語を自分一人のものではなく、内田彩さんと私たちの物語と捉えているということではないでしょうか。私たちも、内田彩さんの最高にかっこいい物語の一部なのです。
内田彩さんの楽曲の歌詞は、悪い時・マイナスの状態を肯定するメッセージのものが多い。そして、内田彩さん自身がそのメッセージを身をもって証明するから、楽曲の説得力が増すのでしょう。私たちはそんな内田彩さんに憧れ、影響を受け、各々の日常を生きていくのです。
内田彩さんと私たちの物語は、未来は、明日は、これからもずっと優しく微笑んでくれることでしょう。
*おわりに*
今回のタイトル「AYA UCHIDAが始まった日」にはAYA UCHIDAが始動したからこそ今の自分がいる、といった想いを込めました。前にバズった自分の某記事とも呼応しています。私は口が悪いので知らないオタクから「声優へのリスペクトが足りない」なんて言われちゃうんですけど、それは不本意なことで私はほんとうに内田彩さんが好きで尊敬していて彼女に憧れているからこそ彼女に近づきたくて日常生活を頑張ろうと思えるし、私が私をアップデートしようとか思ってTOEICの勉強も始めたんですね。内田彩さんがいるからこそ今の私、そして明日からの私がいるし、本当に彼女は自分にとって大切な存在です。
本文も自分の内田彩さんへの尊敬とか感謝とか好きとか、そういった果てのない愛を詰め込めればなあと思いながら書きました。
内田彩さん、アーティスト活動3周年ほんとうにおめでとうございます。いつも希望を与えてくれてありがとうございます。これからのさらなるご活躍を心からお祈りしております!
さて、考察記事はこれで大きく一段落つきました。次の考察記事(最終回)ではもっと軽い気持ちでシリアスとかRuby eclipseとかcolor stationとかBlue Flowerについて好き勝手言うつもりです。いつ投稿できるかはわからないけど。
最後にダイレクトマーケティングのコーナーです!今晩紹介する商品はAYA UCHIDAさんの1stアルバム『アップルミント』です!!これはね~~いやあ、後世に語り継ぐべき名盤ですよ!アップルミントに元気をもらったり、Merry Goやピンク・マゼンダのような優しさに癒されたり、Breezin'やGrowing Goingでブチ上がったり、ONE WAYでかっこいい内田さんに惚れたり、ほんっともう色んなキラキラした気持ちがたった1枚!通常版なら3000円!で味わえるから!この記事読んでる人ならだいたい持ってるだろうけど、まだって方は是非!よろしくお願いします!!!
それでは、ここまでお付き合いいただきありがとうございました!
おわり。