オタク徒然

オタク徒然

たぶん忘れてたのは 思い出じゃなくて 鍵の在り処だった

「絶対女の子がいいな」

私はずっと男に生まれたかった。
別に性同一性障害とかではなく、女という社会的弱者の性別に生まれた自分が許せなかった。
電車に乗れば痴漢され、道を歩けば馴れ馴れしく声を掛けられ、罵倒され、常に容姿と年齢でジャッジされ、努力して成功しても親には「女だから上手くいっただけ」と言われ、インターネットで権利を主張すればクソフェミだと罵られ……生理も妊娠も出産も嫌だし、女という性別も、その性別に生まれた自分も心から憎かった。
私は総合職として定年まで働き続けたいのだが、デフォで男性より少ない体力も妊娠も出産も、女であることによって生じる多くの事象が私のキャリアプランを邪魔する。
「女に生まれるくらいなら、生まれてきたくなかった」。これが私の人生に対する今日までの所感である。

だけど、今日参加した大森靖子さんのツアー「超歌手大森靖子2019 47都道府県TOUR"ハンドメイドシンガイア"」の埼玉公演。

ここで、今日までの自分の価値観がガラッと変わった。

アンコールで披露された「絶対彼女」という曲。

(本家MV)

www.youtube.com

(最近作られた道重さゆみさんとのコラボMVも可愛いのでオススメ)

youtu.be

サビの「絶対女の子 絶対女の子 絶対女の子がいいな」という歌詞を観客で合唱をした。

絶対女の子 絶対女の子がいいな
絶対女の子 絶対女の子がいいな
絶対女の子 絶対女の子がいいな
絶対女の子 絶対 絶対 絶対彼女

絶対女の子 絶対女の子がいいな
絶対女の子 絶対女の子がいいな
絶対女の子 絶対女の子がいいな
絶対女の子 絶対 絶対 絶対彼女

私も周りに負けじと懸命に歌った。絶対女の子。絶対女の子がいいな。絶対女の子。絶対女の子がいいな。

何度も何度も狂ったように「絶対女の子がいいな」という歌詞を熱唱するうちに私は、

 

……女の子も悪くないな、と思えてきたのである。


突然、今までの20年間の呪いが解けたようだった。
特に何か価値観が変わるような出来事が起きただけではない。
ただ、大声で「絶対女の子がいいな」と歌っただけである。
それだけなのに、私は、女の子がいいな、と本当に思えてきてしまったのだ。
あんなに、女に生まれた自分が憎かったのに。あんなに、男に生まれることを渇望していたのに。
これが、音楽の力か。
大森靖子さんのポリシーに「音楽は魔法ではない。でも音楽は、」というものがあるが、まさにその「でも音楽は、」部分に当たると言えるだろう。音楽に、救われたのだ。

 

話は少し逸れるが、つい昨日彼氏と「一日だけ入れ替わったら何がしたい?」という話をした。
私は社会的強者としての男という人生は歩みたいものの、一日だけ男になっても特にやりたいことは思い浮かばなかった。強いて言えば射精してみたいくらい?
だけど、彼氏は「可愛い服が着たい!」「ツインテールもしてみたいな」「髪も思い切ってピンクに染めるか…」「ネイルもしてみたいけど、難しいかなあ」とあれこれ楽しそうに悩んでいた。
女になったらやりたいことが、そんなにあるのか。目からウロコだった。

 

私は女に生まれた自分がずっと嫌で男に生まれたかったけど、もしかしたら私が焦がれてやまない男の人も女に生まれたかったと感じているのかもしれない。
そんな簡単なことに、今日やっと気づいた。
隣の芝生は誰しも青く見えるものである。

きっと、どっちの性別に生まれてもそれぞれに違う辛さがあるし、それなら自分が授かった性別は自分で肯定するしか無いのかもしれない。

もう、女に生まれたくなかったとか、男に生まれたかったとか、そんなことを言うのは今日で最後にしようと思う。

これからは、胸を張ってこう言いたい。

 


もし、生まれる前に戻って性別が選べたとしても。

 

 

 

 

 

「絶対、女の子がいいな」

 

 

 

 

 

おわり。

(余談ですが、絶対彼女を歌う前に「お前が一番可愛いよ!」「私が一番可愛いよ!」というコールもあり、「私が一番可愛いよ!」と叫ぶのもこれまた自己肯定感爆上がりするので是非公演に行って体験してみて欲しいです。)